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5億4千万年前の化石で判明
生物は実に多様な姿をしているが、口から肛門へと続く
消化管の存在は、ほとんどの生物に共通している。
だが太古の昔、我々人間の祖先には口しかなく
肛門がなかったかもしれない。
英「BBC」などが報じている。
話題となっているのは、中国陝西(せんせい)省で見つかった
5億4千万年前のカンブリア紀に生きた小さな生物の化石だ。
わずか1mmほどの小さなもので、肉眼では黒い粒にしか見えないが
顕微鏡下ではその構造が詳しく観察できたという。
■ただ一つの開口部、円錐状の突起物……!
1月30日付の科学誌「Nature」に発表された論文によると
その生物は袋のような形をしており、大きな開口部を持っていた。
目はなく、開口部の周囲には同心円状に突起物が
並んでいたという。
薄くて柔らかな表皮に包まれ、体をくねらせて
移動できたと考えられている。
海底の砂地に生息し、大きな口で微生物などを食べていたと
思われるが、奇妙なことに肛門らしきものは見つからなかった。
研究者らは、ただ一つの開口部を口かつ肛門として
使っていたのだろうと推測している。
この生物は「sack(袋)」にちなみSaccorhytus coronarius
と名付けられた。
また、Saccorhytusの構造には、もう一つ興味深い点が
指摘されている。
体の表面にある円錐状の突起物が、口から吸い込んだ水を
排出するためのものだったかもしれないのだ。
つまり、ごく初期の鰓裂(さいれつ)だった可能性がある。
鰓裂とは、あらゆる脊椎動物の発生途上において
共通して生じる咽頭部と外界との連絡口だ。
魚類では鰓(えら)に、人間では咽頭や中耳に分化する。
■生物進化の謎を解き明かすカギとなるか!?
さて、この奇妙な生物が魚ならともかく、人間の祖先と
言われてもまったくピンと来ないかもしれない。
Saccorhytusの進化系統樹上の位置を正しく述べるなら
この生物は後口(こうこう)動物の遠い祖先とみられている。
後口動物は棘皮(きょくひ)動物門・半索動物門・脊索動物門
という非常に多くの生物を含んでおり、人間もその中に含まれる。
そう、後口生物の共通祖先の一つがこのSaccorhytus
かもしれないということだ。
生物の初期進化については、まだまだ謎が多い。
近年、ゲノムを用いて生物が枝分かれした時代を推定する研究が
活発に行われているが、すでに見つかっている化石資料との
年代のズレが指摘されている。
今回の発見は、そのギャップを埋めるものとしても
期待されている。
足元に散らばっているような小さな砂つぶほどの化石が
進化を研究する上では重要な手がかりとなっているのだ。
【関連情報】
生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学
生命の跳躍――進化の10大発明
生命の誕生―先カンブリア時代・カンブリア紀―
化石標本30種 地質年代表と標本のセット
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