今日の気になる情報をお届けします。

仲卸「やまふ水産」で帳場を担当する淵上優美子さん
■「待たせないこと」河岸の流儀を守る
挨拶以外に一言二言声をかけてくれる
お客さんにも励まされてきた。
「今日は笑ってるから大丈夫だね」という一言に
「ああ、見ててくれてるんだな」
と胸が熱くなる。
「お客さんが優しい」のは、優美子さんの働きぶりに対する評価だろう。
一刻も早く仕入れた魚を持ち帰り手を加えたい客たちは
基本的に気が短い。
正確、迅速な決済は、魚の目利き同様、仲卸稼業の両輪だ。
支払いにくる常連客のビニールポーチに「やまふ」という屋号ではなく
「ルーさん」と書かれていることからも、優美子さんに寄せる信頼がうかがえる。
「河岸の流儀は待たせないこと。ルーちゃんもだいぶ早くなったけど
まだまだこれから」
と帳場経験34年のベテラン、四十八願幸子さんは、同店の帳場担当者
のなかで最年少の優美子さんに檄を飛ばす。
四十八願さんが、ピーク時にお客の声を聞き分け何十枚と
伝票を起こす技は、とてもコンピューターでは及ばない。
人の顏と名前をすぐに覚えられるのも、お客さんに気持ち良く
買い物をしてもらうために書き記した顧客情報ノートのたまもの。
売り子との息のあった注文のやりとりは、リズムが大切。
「ルーちゃんは帳場のリーダーとして
みんなのお手本になってほしい」
子育てとの両立の難しさに理解を示している社長も
「苦しい中にも楽しみがあるのが仕事。世界で一番のマーケットだから
誇りを持って続けてほしい」
と期待をにじませる。
■ それぞれの成長を胸に将来へ
この春、夫妻を驚かすことがあった。
高校に進学する颯君が
「いずれはお父さんや叔父さんのように、兄弟でやっていきたい
築地で将来働きたい」
と言ったことだ。
横で聞いていた若い従業員は
「社長が若い人を誘うから、ここには跡継ぎいっぱいいる」
とちゃかす中
「何をするにしても一人じゃ何もできない、みんながあって
自分があることを知って」
と父、淳二さんは冷静に息子に語りかける。
そして、帳場で優美子さんの隣に座っていた末っ子
澄香ちゃん(10)からの手紙には感謝がつづられていた。
「ままへ、いつもごはんをつくってくれてありがとう。
いつもいつもめんどうみてくれてありがとう」
家族を支えているつもりが、いつの間にか支えられていた。
魚河岸に嫁がなかったから知らなかった世界だが、今では
「自ら進んでこの仕事を選ぶかもしれない」
と思うほどだ。
「平常心、平常心」と焦る自分に言い聞かせながら働いているが
毎日人と接するのが楽しいし、何より市場の活気から元気を
もらっていると感じる。
この先、築地がどこへ向かうのかはわからない。
それでもお客さんがいて、仲間がいる限り、「やまふ」を支えていく
覚悟はできている。
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