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社員頼みの株価下支え
中国の小規模企業の間で、社員に自社株を
購入させる動きが広がっている。
株価低迷に悩む企業が、中国式の「損失補填付き自社株買い」で
株価の下支えを狙う。
だが、当局が警戒するほか、専門家からは「一時しのぎでしかない」
との指摘も挙がる。
6月に23社が表明
最近の中国本土株下落で打撃を受け、資金繰りに苦しむ小規模企業が
頼ったのは自社の社員だ。
損失が生じた場合は幹部、通常は会長が補填する約束で
自社株を買うよう社員に対し、公に促している。
こうした形の損失補填付き自社株買いを表明した企業は
6月に少なくとも23社に上る。
大半は深セン証券取引所の上場企業で、時価総額はそれぞれ200億元
(約3300億円)未満だ。
これらの企業の株価は、2015年の株式相場急落時の
水準近くまで下がっていた。
複数社の申告資料によると、自社株を購入した社員は
損失時に補填を受けるためには、その株を12カ月間
保有する必要がある仕組みだ。
小規模企業の株主や経営陣は、株式保有分を担保にして融資を
受けている場合が多く、株価の低迷が続くと深刻な問題となる。
スイス金融大手クレディスイスの本土株式市場担当ストラテジスト
リー・チェン氏は
「株主や経営陣が清算を迫られるほどの水準にまで株価を
下げている企業もあり、多大なプレッシャーがかかっている」
と指摘する。
例えば、自社株買いを証券取引所に申告した製氷機器メーカーの
福建雪人の株価は、今年に入ってから30%下げていた。
深セン総合指数構成企業の今年1~3月期のフリーキャッシュフロー
(現金収支)は14年前にブルームバーグが集計を始めてから最低となった。
さらに、直近5四半期のうち4四半期でフリーキャッシュフローが
マイナスの状態だった。
平均5.6%上昇
自社株買いを表明する動きが活発になったのは6月だ。
これまでに表明した23社の株価は、自社株買い発表当日または
翌営業日に平均5.6%上昇。
こうした措置は功を奏しているようだ。
クレディスイスは、他に選択肢のほぼない中国の企業にとって
自社株買いは生命線になり得ると指摘した。
投機的投資家には良いニュースとして受け止められ
投資を呼び込んでいる。
中国の資本管理会社、濯清資本のバイスプレジデント、ヤン・ミン氏は
「短期的な利益がほぼ約束されているためだ。自社株買いを行う企業の
幹部らは株価維持のために奮闘するだろう。事実上、株の最低価格を
設定しているようなものだ。当面は投資家が株を買う見通しだ」
と評価する。
だが、全ての企業に対して有効な手段とはかぎらない。
ガラス製品メーカーの安徽徳力日用玻璃の株価は、自社株買いを
発表した6月9日、上場廃止勧告の対象となる前日比5%安を記録した。
当局も警戒している。
中国紙の証券時報によると、損失補填確約付きで従業員に自社株を
購入させる企業は、計画の詳細、購入の期間、損失の計算方法
補填額の上限やタイミング、実行可能性を明示する必要があるとの
文書を深セン証券取引所が明示したとのことだ。
交銀国際の洪●チーフストラテジストはこの手法について
(●=さんずいに景と頁を横に並べる)
「バリュエーションを膨らませる当座しのぎの策にすぎない。
こうした企業が真にすべきことは経営の強化で、株価の下支えではない」
と苦言を呈している。
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