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ドゥテルテ大統領
フィリピンのドゥテルテ大統領





フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2016年6月の
就任以来、死者を伴う麻薬撲滅戦争を進めてきた。

欧州連合(EU)と国連は、結果的に数千人が死亡している
(その多くは自警団による私刑)野蛮な取り締まりを非難している。

国内の反応は、少なくとも今のところはそれほど批判的ではなく
むしろおおむね支持されているが、先頭に立って批判していた
上院議員は、最終的に逮捕された。

人権保護団体は、麻薬撲滅運動は主に都市部の貧困層をターゲット
にしており、人道に対する犯罪となっている恐れがあると主張している。


◆400万人の中毒者


■何人が死亡したか

人権保護団体のヒューマン・ライツ・ウォッチおよび
アムネスティ・インターナショナルによれば、撲滅運動開始以降
7カ月で死者は7000人以上に達している。

フィリピン政府は、この数字は誇張されており、公式統計による
死者数は警察によるものが2600人、自警団によるものが
1400人と発表している。

どちらにせよ、ドゥテルテ大統領就任から1年もたっていない期間の
死者数は、マルコス元政権下で戒厳令が敷かれていた1981年までの
8年間の死者数を上回っている。

タイのタクシン元首相による2000年代初頭の麻薬撲滅戦争では
2500人以上が死亡した。


■誰がターゲットか

麻薬取引の総元締め、ディーラー、使用者、すなわちあらゆる違法取引の
関係者をターゲットにしている。

ドゥテルテ政権はフィリピンの人口約1億人のうち、麻薬中毒者は
最大400万人に上ると推計している。

だが、政府の危険薬物委員会(DDB)は180万人とみている。

現地でシャブと呼ばれているクリスタル・メタンフェタミンが
最大の元凶で、その大半は中国から来ている。


■国民はこの麻薬撲滅戦争を支持しているか

国民はその手法よりも目的を支持している。

上院の調査が警察の違法行為を暴く前の数字だが、16年12月の
調査によるとフィリピン人の80%がドゥテルテ大統領の
麻薬撲滅運動に満足していると回答した。

他方、78%の国民が自身または知り合いが超法規的な取り締まりに
巻き込まれて死亡する恐れがあるとの懸念を示しており
90%が麻薬犯罪の容疑者は生きたまま捕らえられるべきだと回答した。


■どのように批判に対応しているか


ドゥテルテ大統領は麻薬使用は国家的な伝染病だと考えている。

大統領は自らに批判的な人々について、社会の利益よりも
犯罪者の生命を重視していると反論する。

また、人権侵害だとの非難に対しては

「犯罪者を殺しても人道に対する犯罪には当たらない。
 そもそも犯罪者は人間性に欠けているのだから、くそくらえだ」

と発言した。

では、殺人事件は減少したのだろうか。

数人のみならず警官が韓国人ビジネスマン殺害に関与したことが
示された後の1月30日、大統領は一時的に麻薬撲滅運動から警察を外した。

警察庁長官は撲滅運動を刷新して3月に再開し

「仮に無血のまま捕らえられなくても、流血を減らしていく」

と発表した。

だが再開からわずか1週間で、警察は679件の摘発で
27人の容疑者を殺害したと発表した。


■誰が非難しているか

アムネスティ・インターナショナルは、撲滅運動のターゲットが
不当に貧困層に偏っていると主張している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国連に虐待の
調査を申し立てている。

このほかドゥテルテ大統領批判の急先鋒だったレイラ・デリマ上院議員
がいるが、同議員は最終的に逮捕された。

議員は2月に麻薬取引の罪で起訴され、法相としての任期中に
刑務所内における麻薬取引の横行を許していたとされた。

議員は容疑を否定し、自身の逮捕の裏には
政治的な意図があると反論している。

同議員はドゥテルテ大統領と因縁がある。

ドゥテルテ大統領が市長を務めていた期間を含め1980年代から
始まったダバオ市の自警団と称する私刑集団による殺人行為に関する
上院の調査を率いていた。

ドゥテルテ大統領は、自身と暗殺者集団を結び付ける証言は
でっちあげだと説明している。


◆任期いっぱい注力


■麻薬撲滅運動が終了するのはいつか

ドゥテルテ氏は大統領候補として違法な麻薬取引を6カ月以内に
撲滅することを公約に掲げて選挙戦を展開。

大統領に就任すると、状況が思っていたよりもひどいため
撲滅には6年間の任期いっぱいを要する可能性を指摘した。

1990年代初めにコロンビア国内の麻薬カルテルと戦った
ガビリア元大統領は、麻薬撲滅に軍と警察を投入すると
事態を悪化させるだけだとドゥテルテ大統領に警告した。

武力を行使したタイの経験からも問題が浮かび上がってくる。

タクシン元首相の麻薬撲滅運動での死者の半分以上が麻薬と
無関係であったことが公式な調査で判明しているためだ。

しかしドゥテルテ大統領は屈せず

「期間は6年ある。撲滅してみせる」

と強気だ。 


【関連情報】

アメリカに喧嘩を売る国 フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの政治手腕
マフィア国家――メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々
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薬物依存者とその家族 回復への実践録 ― 生まれ変わり、人生を取り戻す ―


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