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フランスの先史博物館に展示されたネアンデルタール人の想像模型
スペインで発見された初期人類ネアンデルタール人の
少年の頭蓋骨の分析で、その成長パターンが現生人類の少年と
酷似していたことを示唆する結果が得られた。
研究論文が21日、発表された。
絶滅したヒト属の一種ネアンデルタール人が現生人類と似た
特徴を持っていたことを示す新たな証拠となる。
この希少なネアンデルタール人の子どもの部分骨格は
成人7人と若者5人の骨の化石とともにスペイン・エルシドロン
にある4万9000年前の考古学的遺跡で発見された。
米科学誌サイエンスに発表された研究論文によると
「El Sidron J1」として知られるこの7.7歳の少年に関する
今回の研究は、この地域から発見された若年のネアンデルタール人
に対する初の学術調査だという。
論文の共同執筆者で、スペイン国立自然科学博物館古人類学研究グループに
所属するルイス・リオス氏は、記者会見で
「このネアンデルタール人で確認されるのは、全体的な成長パターンが
現生人類に非常によく似ていることだ」
と語った。
論文によると、死亡時の少年はまだ成長途上にあり、脳の大きさは
平均的な成人のネアンデルタール人の約87.5%だったという。
現生人類の少年では、この年齢までに脳の重さが成人の約95%に
達していると考えられると論文は続けている。
脊柱については、一部が未結合だったことが分析で示された。
これと同じ部位の骨は、現生人類ではより若い年齢の4~6歳で
結合する傾向がある。
今回の研究は、人類発達の歴史に新たな光を投げかけている。
ネアンデルタール人は、アフリカ大陸から出現した現生人類とは
独立してユーラシア大陸西部で進化したが
両者は多くの共通点を持っている。
■成長期の延長
儀式の慣習を持ち、壁画制作や死者の埋葬、現生人類との交配などを
行っていたとされるネアンデルタール人は、約3万5000年前に絶滅した。
彼らは現生人類よりはるかに大きな頭蓋骨を持っていたことが
知られており、脳の容積も現生人類より大きかった可能性がある。
だが、どのようにして脳の大型化に至ったかについては
ほとんど分かっていない。
一つの説は、ネアンデルタール人が現生人類に比べて成長速度が速く
ネアンデルタール人の子どもはより速やかに成人サイズに
達したというものだ。
この経路を示唆する過去の研究は、主に歯の
手がかりに基づくものだった。
今回の最新研究は、より完全に近い化石標本に基づいている。
ネアンデルタール人の少年の骨格化石には、左半身の36%
頭蓋骨の一部および乳歯と永久歯などが含まれていた。
研究チームは少年の骨を分析した結果、単に脳の成長が現生人類より
速いのではなく、ネアンデルタール人の成長期が長かった可能性が
あると考えるに至った。
リオス氏は
「より大型の脳を成長させる1つのメカニズムは
成長期の延長と考えられる」
と記者らを前に述べた。
■不可解な死
このネアンデルタール人の少年がどのようにして死に至ったかは謎だ。
体重26キロ、身長1.11メートルのこの少年は「頑健」で
病気の兆候はみられなかったと研究チームは説明している。
少年の骨には発見地の洞窟にあった他の骨と同じ
「痕跡」が残されていた。
これまでの別の研究では、ここで食人行為が広く行われていた
ことが示唆されていた。
しかし、論文の共同執筆者のアントニオ・ローザス氏は
AFPの取材に
「少年の骨には痕跡がいくつかあるが
死因までは分からない」
と話している。
【関連情報】
アフリカで誕生した人類が日本人になるまで
人類の祖先はヨーロッパで進化した
人間はなぜ歌うのか? −−人類の進化における「うた」の起源
世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史
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